2016年もあと数週間となりますが、当社にとって本年は色々な変化が始まった年になったと考えております。ここ十数年来、社員数にほぼ変動がなかった訳ですが、今年は5名の方に入社いただき、1名の方が残念ながら退社されました。
当然、新しい仲間が増えると、今まではあうんの呼吸で通用していた社内の文化やルールが機能しなくなりますので、各業務のマニュアル化や制度化を推進してきました。
また、会社の方向性を明確化するために企業理念を策定したり、一人でも多くの人々に育栄建設を知ってもらおうとWebサイトを整備したり、求人広告を出したり、企業説明会に参加したり。
仕事においても過去にはなかったような大きな金額の案件を受注したり、公共工事の幅を広げたり。今までは一人一人が自分のことだけを考えていれば良かった仕事が、部下のこと、知識や経験が少ない人たちの視点に立って遂行する必要に迫られたり。
当社の社員はこのような環境の変化にもかかわらず、文字通り歯を食いしばり、一人一人が着実に工事を完成させてくれました。結果、9月の決算では前期以上の売上を確保し、黒字化することができました。
社員の皆さんへの感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
そんな中、私自身は経営者になって4年目に入ったわけですが、まだまだ不安でいっぱいというのが正直な気持ちです。
利益を確保できなければどうなるのか?社員が辞めたいと言ってきたらどうしようか?人材の確保ができなかったらどうしようか?お客さまのために会社がすべきことはなんなのか?付加価値とは?
私は、台東区産業振興事業団が実施する「若手経営者サポートセミナー」に参加しているのですが、先日のセミナーで「人間万事塞翁が馬(じんかんばんじさいおうがうま)」という言葉が紹介されました。
あぁ、懐かしい。
私がまだ20代後半の頃、無謀な上司と自分勝手な部下との間に挟まれ、「自分の存在はいったい何なんだ?」などと悩んでいました。そんなときに、別の上司(社会人の基本を色々と教えていただいた方です)からこの「人間万事塞翁が馬」の意味を教えてもらいました。
すごくスッキリしたことを思い出します。
そして今、この言葉をすっかり忘れていたことに気付きました。
そう、人生そして世間は「人間万事塞翁が馬」なんだと。
~大型案件が落札できたぞ、やったー!~
これが良いことになるとは限らないぞ
→調子に乗っていると思わぬ落とし穴があるかもしれない。用心しよう。
~社員が仕事つらくて落ち込んでいるぞ、う~んどうしよう~
これが悪いことになるとは限らないぞ
→そこから見つかる良い方策があるかもしれない。私にできることはなにか?
~日本初の施設を完成させてくれてありがとう!テンション上がるぜー~
これが良いことになるとは限らないぞ
→検査でたくさん指摘を受けるかもしれない。チェックしよう。
~また内定辞退か。やっぱり無名のしかも人気のない職種だし~
これが悪いことにつながるとは限らないぞ
→応募してきてくれただけでありがたいじゃないか。それに新たな出会いの始まりだし。
日々、本当に色々なことが起きます。
良いこともあれば、悪いこともある。それらにいちいち振り回されたり、反応するのではなく、信念を強く持ち、泰然と構えながら、会社の色々なことを一つ一つを判断していく大切さに気付くことができました。
育栄建設株式会社
代表取締役 水落 清