昨年11月から請け負わせていただいた「両国ポンプ所耐水化工事」が本年3月に無事竣工しました。
この工事は東京都下水道局が管理する「両国ポンプ所」において、津波等が発生した際に下水道機能を確保するために、ポンプ所内へ濁流の流入を防ぐ目的として計画されました。
この両国ポンプ所は、両国国技館と江戸東京博物館に挟まれる形で設置されており、周囲の環境に溶け込んでいるため、意外と分かりづらい建築物になっています。
今回は行った工事のうち、一般の人からも見ることが出来る、施設の外周周りで施工した箇所のご紹介をします。お近くにお越しの際には、是非とも見ていただければと思います。
1.施設出入口部 コンクリート製袖壁+止水扉
施工前
施工後
津波などの濁流に耐えられる強度の止水扉を設置するのですが、その扉を支える躯体(建物の構造部)が存在しないので、袖壁を新たに設置しました。床スラブから接着系アンカーを用い、袖壁を強固に建物に固定しています。袖壁に関しては、意匠的なことも考慮に入れ複層塗材の仕上げとしております。
2.事務室開口部 化粧コンクリートブロック製壁
施工前
施工後
この箇所においては濁流による立木等流れてくる物からガラスを守るための袖壁として設置しました。化粧コンクリートブロックを用い、床のインターロッキングと色を合わせながら意匠的に自然な感じで表現しました。公共工事では色や模様などの意匠的な部分については一任されることも多いので、施工管理者のセンスが問われる部分でもあります。
3.機械室排気口部 化粧コンクリートブロック製壁+新規ガラリ取付
施工前
施工後
既存の金属製ガラリ+扉を一度撤去し、浸水が想定される対策高さまで化粧コンクリートブロックを組積し、その上に新たに金属製ガラリ+扉を設置しました。金属製ガラリは外周部で多くの人の目に触れる箇所に設置されているので、スチール+亜鉛メッキ製の仕様となっております。化粧コンクリートブロックについても、前例と同様に通路部のインターロッキングの色に合わせたものを採用しております。
4.電気系機械置場 化粧コンクリートブロック製壁+ルーバー切断加工取付
施工前
施工後
外部に面している電気系機械置場について、既存の金属製ルーバーを一時撤去した後、浸水が想定される高さまで化粧コンクリートブロックを組積後、一時撤去した金属製ルーバーを切断加工し、復旧しました。この箇所の化粧コンクリートブロックは外周部の色に合わせ、前例とは異なるグレー系のものを採用しました。
この耐水化工事は想定される浸水高さに新たに設置する工作物等の高さが達しているかどうかが一番のキモになります。当然、敷地内では箇所ごとに海面からの高さが異なる訳ですから、施工する際には事前調査を含めて、図面の高さが合っているかなど総合的に判断し、施工していく必要があります。
次回は室内などの開口部に設置した防水扉の設置状況等をレポートいたします。